"既存不適格建築物" とは
建築時の建築基準法(旧規定)より適法に建てられた建築物であって、その後の法改正・用途地域、建ぺい率、容積率等の都市計画の変更・条例の制定や改正により、現行の建築基準や都市計画に不適格な部分が生じた建築物です。
既存不適格建築物は次の措置等が定められています。(法とは建築基準法)
■既存不適格建築物は現行規定を適用しないこととしています。(法第3条第2項)
■既存不適格建築物を一定の範囲内で “増築、改築、移転、大規模の修繕 もしくは 大規模の模様替 (以下、「増築等」といいます。)” を行う場合には、引き続き、現行法を適用しない緩和措置を定めています。(法第86条の7)
■用途変更の場合も一定の緩和措置が定められています。(法第87条第4項)
■上記の緩和措置は既存不適格の規定についてのみ適用され、違反建築にはついては適用されません。
・ただし改正建築物省エネ法の施行により既存建築物の修繕や模様替え(いわゆるリフォーム)を除く増改築は増改築を行う部分を省エネ基準に適合させる必要があると考えられます。
・国土交通省の通達「既存建築物の増築等に係る建築基準法上の取扱いについて(技術的助言)」
概要:‟現況調査” を行っても法適合状況が分からない場合は構造安全性を損なうような著しい劣化が確認されなければ既存不適格として取り扱って差し支えないとされています。
令和7年3月26日 国住指第517号より一部抜粋
令和7年4月1日施行 “脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律”(略称:改正建築物省エネ法) の施行により同法施行前の既存建築物は既存不適格建築物に該当する可能性があります。
改正法の目的はカーボンニュートラルに向けた建築物の断熱性の向上とされています。
・既存不適格建築物は違法建築物と異なり強制力がある行政指導や罰則や罰金の対象になりませんが建替え・増築・大規模なリフォーム等を行おうとする場合には、その建築計画が制限されることがあります。
関連事項
■これまでは建築確認申請が不要だった木造戸建のリフォームのうち大規模なリフォームについては、令和7年4月1日から建築確認申請が必要になりました。※2 建築基準法の改正(4号特例の縮小)
主に木造2階建以下の小規模建築物における建築確認審査の省略制度を縮小
■既存住宅をリフォーム等するときは依頼主様(建築主)の依頼に応じる建築業者様(建築士を含みます。)が必要に応じて、リフォーム内容の可否や確認申請の要否を市町村または北海道の建築指導係等に確認することになります。
■リフォームに関することは依頼主様の依頼に応じる建築業者様にご相談ください。
